繭を救い出し柏木家を出た澪は、蔵へと向かい樹月に神社の抜け道についてもう一度尋ねた。 『神社の抜け道は朽木の祠によって封印されている。その封印を解くには、それぞれの家に伝わる家紋風車が必要なんだ』 「それがこの石板ね」 澪が園崎と桐生の家紋風車を見せると、樹月は静かに頷いて続けた。 『立花の家紋風車はこの蔵の天井裏に隠してある。でも僕はそれを取ることができないんだ。だから蔵の鍵を探して欲しい』 「でも、どこを探せば…」 『蔵の鍵は村にある双子地蔵のどれかに隠されてるはずだ。数が多くて大変だとは思うけど…』 澪はちらりと後ろにある双子地蔵を見た。 「わかった。それで、他の家紋風車は?」 『柏木の家紋風車は捕まる前に、朽木のそばにある墓地の祠に隠したんだ。行けばわかると思うよ』 澪と繭は顔を見合わせて頷く。 『残るは逢阪の家紋風車だけど、逢坂家のどこかにあるのは確かだけど、それ以上のことはわからない…』 「…そう。でもそれだけわかってれば十分だよ」 『力になれなくて…ごめん』 どこか申し訳なさそうに言う樹月を見て、澪は慌てて首を振った。 「そんなことないよ!樹月君のおかげでここまで来れたんだもん。私達だけだったら、とっくに捕まってたよ」 澪の言葉に、繭も頷く。 そんな二人を見て、樹月は少しだけ笑みを浮かべた。 no 次へ [しおりを挟む][戻る] |