FAITAL FRAME〜zero〜
□最終夜 呪縛

縄殿からさらに奥へと進むと、巨大な門があった。


注連縄で封じられていたようだが、半分開きかけてしまっている。


「体が……重い……」


それまでとは違う嫌な空気が漂っている。


まるで重しでも乗っているかのように、体が重く、沈みそうだった。


「…これが…黄泉の門……」


気が遠くなりそうだったが、僕はゆっくりと前に進んだ。


門へと近づくと、足に何かが当たった。


視線を下に向けると、そこに汚れた日記の断片が落ちていた。


"日記の断片"

もうすぐ儀式が始まる。

もう迷いはない。

これが私の宿命なのだから。

でも、できることなら最後に一言、お別れの言葉を伝えたかった。

あの人は里へ帰られたのだと宮司さまは仰ったけど、どうして何も言わずに出て行かれたのか。

寂しかったけれど、これでよかったのかもしれない。

あの人の顔を見たら、きっと迷ってしまうだろうから。

生きろと言ってくれたあの人には申し訳なく思う。

でもこれは、私が生まれて来た意味そのもの。

哀れだと思わない訳ではないけれど、これでいい。

短い間だったけれど、生きる喜びを教えてくれたあの人に出会えて本当によかった。

今はただ、あの人が無事に想い人のもとへ帰られたことを祈ります。



「これは……キリエの…」


その時だった。


耳元で女性の声が響いた。


『あの人が無事に帰られたのなら、それでよかったのに……』


「!?」


驚いて振り返った瞬間、ぐっと喉が締め付けられた。


鳥居のそばにキリエが立っている。


「う…っ」


首に縄が食い込み、それを外そうと両手を掛けると、手首にも縄が巻きついて食い込んだ。


五肢に縄が食い込み、凄まじい力で引っ張られる。


「…っ」


どうすることもできなかった。


腕が、足が、首が、悲鳴を上げている。


もう…限界だ。


そう思った瞬間、聞き覚えのある声が聞こえた。


「兄さん!!!」

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