暗い洞窟の中を進んで行くと、分かれ道があった。 しかしその片方の道は岩で塞がれてしまっている。 そういえば友人が、最近この近くで大きな地震があったと言っていた。 その衝撃で崩れてしまったのだろうか。 仕方なくもう片方の道を進むと、遠くに小さな光が見えた。 近づくにつれて光は大きくなり、立ち並ぶ赤い鳥居が見えてきた。 「……あれは……」 ふと見ると、鳥居の向こうに人影があった。 神社で見た僕と瓜二つの人物。 「…清純……」 ポツリと呟いて、僕はその後を追った。 鳥居の道を通り過ぎ、重い扉を開けると、奇妙な部屋に出た。 部屋の中央には大きな台座があり、その周りには五つの柱が建てられている。 柱には太い注連縄が巻きついており、そのどれもが赤黒く汚れている。 おそらくここが縄殿、裂き縄の儀式を行う場所なのだろう。 ここで縄の巫女、キリエは五肢を引き裂かれて…… 「…先を急ごう」 嫌な想像を打ち払うかのように僕は台座から目をそらして奥へと進んだ。 前へ 次へ [しおりを挟む][戻る] |