暗い地下道を、僕と先生は歩いていた。 先生の持つ小さな懐中電灯の明かりだけでは、足元を照らすだけで精一杯で、とても奥までは照らし出せなかった。 それでも、僕達は退く訳にはいかなかった。 屋敷に戻ったところで、逃げ道はないし、それに呪いの力がだんだんと強まってきている。 地下に入ってからというもの、首のあたりがきりきりと痛むような気がする。 「…ん?何かあるようだ」 ふと先生が言い、僕は暗闇を凝視した。 ぼんやりとだが、扉が見える。 「…行ってみましょう」 僕はそう言って足を速めた。 重い扉を開けると、そこに異様な光景が広がっていた。 中央に人ひとりが横になれるくらいの大きさの台座があり、その周囲に五つの柱が立っていた。 柱には太い注連縄が巻きつけられ、そのどれもが赤黒く変色している。 「おそらくここが縄殿だろう。ここで縄の巫女は五肢を引き裂かれるのか…」 僕は言葉が出なかった。 昔の事とは言え、こんなことが本当に行われていたとは信じ難い。 黄泉の門がどんなものなのかは知らないが、あまりにも惨い気がする。 「…先を急ごう」 先生の言葉に僕は頷き、奥の扉へと向かった。 no 次へ [しおりを挟む][戻る] |