Wheel of Fortune〜zero〜
□最終夜 解放

暗い地下道を、僕と先生は歩いていた。


先生の持つ小さな懐中電灯の明かりだけでは、足元を照らすだけで精一杯で、とても奥までは照らし出せなかった。


それでも、僕達は退く訳にはいかなかった。


屋敷に戻ったところで、逃げ道はないし、それに呪いの力がだんだんと強まってきている。


地下に入ってからというもの、首のあたりがきりきりと痛むような気がする。


「…ん?何かあるようだ」


ふと先生が言い、僕は暗闇を凝視した。


ぼんやりとだが、扉が見える。


「…行ってみましょう」


僕はそう言って足を速めた。



重い扉を開けると、そこに異様な光景が広がっていた。


中央に人ひとりが横になれるくらいの大きさの台座があり、その周囲に五つの柱が立っていた。


柱には太い注連縄が巻きつけられ、そのどれもが赤黒く変色している。


「おそらくここが縄殿だろう。ここで縄の巫女は五肢を引き裂かれるのか…」


僕は言葉が出なかった。


昔の事とは言え、こんなことが本当に行われていたとは信じ難い。


黄泉の門がどんなものなのかは知らないが、あまりにも惨い気がする。


「…先を急ごう」


先生の言葉に僕は頷き、奥の扉へと向かった。

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