くっついてからっぽい。
「…なにこれ」
「見て分かるだろう、バナナミルクだ!」
ばーん!という効果音つきで白竜が屋上のタイルの上に置いたのは、僕たちの好きないちごミルクとよく似たパックのバナナミルク。暫しの沈黙。屋上を吹き抜ける風。
「…バナナミルク!」
「うんわかった。これがバナナミルクってことはわかったよ。それで?」
「それで、とは?」
「いや、どうしてここに?」
「おいしいのか、一度飲んでみたかったのだ!」
「あ、そう」
「……」
「………」
「シュウは、いらないのか」
「うん」
「そうか」
つまらなそうにストローを取り出しすすり始める白竜。一緒に飲んでほしかったならそう言えばいいのに…。
「おいしくない」
「うそだーその系列の大抵はずれないのに」
「ん」
「…飲めってか」
飲んでみた。可もなく不可もなく、な味だった。バナナ味なので何だか淡白だ。いちごミルクと似ても似着かない。
「おいしくないだろう?」
「……まずくはない。でもおいしいわけでもない」
「そうだろうそうだろう」
「…はい、ごち」
「え、いらない」
「はい?…どうするのこれ」
「………」
「………」
「………」
「買ってきたの白竜でしょ、責任とって全部飲んで」
「…シュウ、」
「え、やだよ僕に任せるの?飲まないからね」
「交代で、飲んでほしい」
交代って…素直に半分飲んでから僕に渡せばいいだろ君は女子か!でも可愛いから許す!
結局交代交代でバナナミルクを飲みきったけど、…まあ、うん。それなりに活躍してくれたよ。バナナミルク。
「………」
「もうつっこまないよ」
「マンゴーミルクだ!」
「やだもう明らか地雷じゃん!何で買ったの!?」
「飲んで、みたくて」
タイルの上にぽつん、と乗るそれはいちごミルクのパックによく似た以下略。バナナミルクよりアウトだろこれは。
「こんなん…変わった味覚の持ち主じゃなきゃ好まないわ…」
「よし!」
ぷちん、とストローを開口部に突き刺し勢いよく啜る白竜。口を離すと、少しぽかんとして間抜けな顔だった。
「…うまいぞ」
「うっそだー!!」
「いいから飲んでみろ」
「…。」
しぶしぶ啜ると、絶妙な甘さが口の中に広がった。マンゴーとミルク、合う!超合う!
「おいしい!」
「そうだろう!そうだろう!」
「今度買ってこよーごち!」
「……」
手渡された少し重いマンゴーミルクのパックを見てから、僕を見る白竜。え、なんか不満でも。白竜は首を傾げて、少し小さな声を出した。
「交代で、飲んでくれないのか…?」
はい、いただきます。男に二言はないよね!
しばらく白竜と甘いひと時を過ごした。
「白竜のくちびるマンゴー味だ」
「それを言うならシュウだって…」
ごちそうさまでした。
「キウイミルク」
「絶対飲まない」
「…おいしくなくても、交代で飲んでくれ」
「………わかった…」
恐る恐るストローに口を付ける。啜る。口の中に流れ込んで…。…!?
「まっずーーーー!!」
「飲ませろシュウ!…ギャー!にが!苦い!!」
「ちょっとこれは無理…無理…」
「シュウ、交代…」
「やだ」