吐溜 | ナノ







「ぎゃん!!」




派手に転んだまま動かない肢体。スカートは捲れ上がり何ともはしたないことになっている。が、男のロマンは黒いスパッツの存在によりがらがらと音を立て崩れ去った。おのれスパッツ…とは思わないが。別に。
そのままにしておくわけにもいかず、首根っこを掴んでぐい、と引き上げるとぐえ、と何とも色気のない声を出された。その途端俺はどん底に突き落とされたかのように萎えた。とてつもなく萎えた。あー、助けなきゃよかったかも。変な気を起こすんじゃなかった。ぱっと掴んでいた手を離すとまた地面に沈んだ。今度は勢いよく起き上がる。これぐらい元気なら問題ないだろう。俺は学校の方へ歩き出した。のだが何故か足は進まなかった。

女に、掴まれている。首根っこを。



「顔、傷付いたらお前の所為だぞ」


手を振り払ってくるりと振り返ると、端正だがきつそうな顔の女が立っていた。俺と同じ学校の制服を着ている。背は高く、肌の色は俺と同じくらい白い。すらっと細身だが、脚に筋肉がついているのでスポーツの部活をやっているのかもしれない。前髪はぼさぼさとも言えるくらい無造作だが、ウェーブのかかった長髪はつやがあり綺麗だった。


「さあな、道端で転んでたお前が悪いんだろ」

「うるさい…たまたまつっかかっただけだ!」

「顔が傷つかなかったならそれでいいだろ」

「あ!ちょっと待ておい!」



煩わしくなり走り出すと、女も走って追いかけてきた。この女…!
足には自信があるのだが全くあの女を振り切れない。化け物かこいつ!



「何ついて来てんだこの野郎!」

「なっ、女に向かって野郎とはどういう教育を受けているんだ貴様!!」

「知るか!!だー!こっちくんなー!!」



学校にたどり着いたはいいが、俺の席の前に立ちはだかっているのは例の女である。最悪な展開だ。見上げると意外と胸がある、と言うのは黙っておくことにする。



「貴様…撤回してもらうぞ…」

「何をだ」

「野郎だ!!」













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