目が、合う。


青い女の人は、私の手元…薔薇を見るとそちらがいいと言わんばかりに襲いかかってきた。うそでしょおおおおうう!?
てか、なんで私の薔薇を狙うのおおお!?怖いよう!!狭いよう!!
女の人は私に迫ってくる。もう後ろは壁で逃げれない!



「ええい女は度胸!!この美人さんめ覚悟しなさいっ!!!」


私は一直線にその青い女の人に向かうと、女の人の額縁めがけて思いっきり、蹴った。
その際女の人の爪が足に刺さり、激痛が身体に襲いかかってきたけどめげずに額縁に力を入れてけると、女の人は重力に逆らえずそのまま倒れた。

女の人は悔しそうに手をじたばたさせて起き上がろうとしたが、起き上がれず。そのうちに私は側に落ちていた青いバラを持って部屋から出た。


部屋は普通の通路だったが、あたりに沢山の薔薇の花弁と、血。…血!???
ここにきて初めて人間っぽいものをみつけた瞬間だった。
あの女の人は一瞬人間かなと思ったけど下半身なかったし。額縁装備だったし。
多分絵の人なんだろうけど、怖すぎるよあれ。



と、思ったらさっき出た部屋の窓にドンドン。の物音が。後ろを向くとさっきの女の人が窓を割って出てきた!うそおおお!!?さっき倒したじゃん!物理的に!



「よくも蹴ってくれたわねぇぇええええ!!!!」


ひーっしゃべった!いやもうここの物は全部喋るんだね!把握した!
つかあの人腕力ぱねぇええええ!!!!



私は必死に逃げたが途中、足に痛みを感じ、思わず転んでしまった。
くそ、さっきのひっ掻かれた傷が痛んだんだ…!
やばい、と思った瞬間その女の人は私の手元にまで手を伸ばし、そして私のピンクの薔薇を思いっきり引きちぎった。



途端。


「く、うぅ…!!!」

全身にはしる鋭い痛み。薔薇を一枚ちぎられたからなのかな。息もしづらい。
心臓が尋常じゃないほど速くなっていく。けど、ここで死ぬわけにはいかない!

手は震えるし、足は痛いし、女の人は怖いしなんでこんな必死なのかもわからない。けど。イヴちゃんだって、イヴちゃんが!




「…っのや、ろ!痛いじゃないの!」


ムカついて女の人の方をむくと、私は女の人のほっぺめがけて手を振りおろした。
バシーン!と乾いた音が響く。
だけど、やられた女の人は大層驚いた顔をしていた。え?
っていやいや、驚いた顔に驚くなよ私。目大きいとか可愛いとか思ってないんだからね!とにかく女の人は何故か固まったまま動かなくなったのでそのまま私は逃げるように廊下へ消えた。

なんで、あの女の人、吃驚したんだろ?
てか叩いちゃったけど大丈夫かな?


私の右手には一枚減ったピンクの薔薇、左手にはしおれかかってる青い薔薇を手に走った。







「あの子……まさか、」


そして青い女の人の声は私には届かなかった。







とりあえず次の場所に沢山水が入ってる花瓶があったので二つとも生けたら元気になったし、私も身体が軽い。すごいな色々と。

この青い薔薇、こうやって花瓶に生けて元気になったってことは、誰かの命の薔薇なのかな?
あそこの廊下に血ついてたし。
じゃあその人に返した方がいいよね…と思いながら進むと倒れている人が。
うわぁ凄いタイミングいいなこの人。って物凄く大きいな。男の人?


「あのー大丈夫ですか?これ、あなたの薔薇ですか?」



と、その人に薔薇を見せるとその人は飛び上がってこちらを凝視した。
わ、凄いイケメン。



「な、なによあんた!今度は何も持ってないわよ!…ってその薔薇!」


アタシのよ!返しなさい!
と叫ぶよくわからない人。ええーこの人性別どっちだろう。てかめちゃくちゃ怒ってるよー頑張ったのにー。

まぁ多分この人同じ状況の人だよね。で、初っ端からあの女の人に襲われた。まぁ警戒心持つよね。ここ訳わかんないし。
何故か頭では冷静に判断しちゃっているあたり、私はここに慣れてしまったかもしれないなと思いながらその人に笑顔を向ける。




「私はスイ。はい、さっき青い女の人にこの薔薇、毟られてたよ。」


「え…」


「ねぇ、赤い薔薇を持ったこれくらいの小さな女の子、見なかった?私、その子とここに迷いこんじゃって。」


「え、あ、アンタも!?」



驚いた顔でその人は私に近づいてきた。わわっイケメン!お、男?だよね?

その後、状況を説明した後その人は謝ってきて、「アタシもそんな感じよ。」と自分の状況を説明してくれた。よかったー信用してくれて。
あ、勿論青い薔薇も渡しましたよ。



「ごめんなさいねぇ…さっきの質問なんだけど、見てないわ。そんな子。」


その人がしょんぼりした顔で答える。うわー顔整ってる人ってどんな顔しても整ってるんだなぁ。羨ましい!
そしてその人は「あ、」と声を出すと、私の方に向きを変えた。そして


「そういえば自己紹介がまだだったわね。アタシはギャリーっていうの。あなたは…スイ、だったかしら?」



よ、呼び捨て…
なんだろう、他の人だったらチャラいなーなんて思うのに、この人だったら別にいいかなって思ってる自分がいる。ええいイケメンだからって惑わされるな!
こくんとうなづくと、その人、ギャリー…さん?はよし!と意気込んだかと思うと、



「ねぇ、その女の子を探すのを手伝ってあげるわ!一人じゃ危ないでしょうし!」



それじゃ行くわよ!とギャリーさんが言うと、私の意見総スルーで手を取られ歩き始める。ええっちょちょちょ、手手手!ナチュラルに手取られたんですがこれは通常運転なんですか!?
しかも手大きいギャリーさん!やっぱり男の人なんだな、この人。
なんか女の人っぽい言葉使いだけど。

そしたらギャリーさんが向かった方向に何故か舌がベロベロ動いてる絵?があり、その絵から唾が急に出てきた。



「ぎゃーっ!!?」


「!!?わああ何何何!?」


私もギャリーさんの声に驚いて一緒に声を出してしまう。ギャリーさんは驚いて後ずさりしたので、後ろにいた私はそのままバランスが崩れる。
気づいたギャリーさんがとっさに庇おうとしてくれたが、間に合わずそのまま二人とも一緒に床にダイブしてしまった。




「う…、ごめんなさいねだいじょう…」


ぶ、と言いかけてギャリーさんは固まった。
私はギャリーさんに押しつぶされて、ギャリーさんが起き上がるまで目をつむって重さに堪えていた。お…重いです…。
だけどどうしたのかなと思って目をあけると、目の前にはびっくりしてるギャリーさん。うわ、近い!
そして何か違和感を感じて目線を下にすると、






ギャリーさんが私に馬乗りで、
しかもギャリーさんの左手は私の、左胸。








「わああああああ!?!!?」

「ううわわっご、ごめん!…なさいねスイ!」


急いで二人とも起き上がるけど、まともに顔が見れなくてお互いそっぽ向き。
だってぎゃ、ぎゃ、ギャリーさんが、ううあああ恥ずかしい!いいい今絶対顔赤いよう!!うあああああああ助けてイヴちゃん!!


ふとギャリーさんの方を見ると、ギャリーさんも顔を真っ赤にしながら頭を掻いていた。その荒々しい仕草がさっきと違って男の人っぽくて、私はまた恥ずかしくなってしまった。










小路


(ぎゃ、ギャリーさんってホラー嫌いなんですか?)

(えっ!い、イヤねぇそんなわけないじゃない!ってかアタシのことはギャリーでいいし敬語もいらないわ!)

(嫌いなんだ…)












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甘い…だと…!
袋小路はギャリーのテーマ曲。


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