苦しい、苦しい。 嗚呼、今ここから闇へと堕ちたい。あそこから落ちれば、死ねるだろうか。 「右京、」 聞きなれた落ち着く声に呼ばれて振り返ると、泣きそうになって不安に揺らぐ瞳が視界に映る。遙、俺の大切な―――。 「大丈夫だ」 微笑むけれど、彼女の整った顔は更に歪む。 訳あって遙とは中学のときから同居。一応恋人で。今、2人で俺の自室にいた。 精神的にも、身体的にも限界だ。なんで、この世界は平等じゃないんだろう。 遙は一瞬躊躇うけれど、震える声で、 「例え、平等じゃなくても」 まるで俺の考えを見透かしたように。 「神様がいなくなってほしいと望んでも」 感情の混雑した空気。 「死んじゃ、駄目」 小さく、耳元で囁いた。 ぎゅっと身体を抱きしめると、華奢な身体はすぐ壊れてしまいそうで恐い。 嗚呼、そうだった。遙と俺は似た者同士で。よき理解者で。恋人で。何もかも、似てたから。だから、片方がいなくなるなんて耐えがたく、死に近い。気が狂うほど愛おしい存在。 ずっと、一緒にいると誓った。 mokuji ≠ しおりを挟む |