嗚咽を漏らして泣いた夜(短編) | ナノ
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今日のお昼過ぎだった。
真紘に何かプレゼントをしようと思って街中を歩いていた時、真紘の好きそうなものを見つけて、丁度買ったときぐらいに。

ブーツッブーッブーッブーッ

ズボンの中でマナーモードにしていた携帯が激しく鳴る。見れば弟の和葉からで、出てみると…。

「悠(はるか)!?お前今何処いんだよ!!急いで××病院の真紘の病室に来い!」

和葉からの逆鱗だった。盛大な音量を耳元で体験し耳がキーンとなりつつも、何処か怒っていて泣きそうな上擦った声に嫌な予感が過る。

この際御金の事なんか気にしてられるか!とタクシーを呼び、病院へ急ぐ。

病院に着いてからは、猛ダッシュで階段を駆け上がって病室に到着した。つくまでに変な目は迷惑そうな目を向けられたが無視を決め込んだ。

そうして、俺は扉を開けてその世界を目にして愕然とする。

手術を2日前に終え、ベッドに横たわる真紘。それはいいんだ。問題は―――、不規則な音を出し、だんだんと下がる心拍数。

これは夢?まさか、まさか、真紘は死ぬなんてことは……。

信じたくない未来が一歩一歩近づいてくる。だんだん混乱する頭に過る映像。堅く目を瞑る真紘に泣き叫ぶ自分。

ぐらり、と身体が揺れる。恐怖に染まる自分も、未来も拒絶したくなる。

「悠…」

ふと弱弱しくか細い声が呼ぶ。愛しさと悲しみを込めて。

「ごめん、もう無理だった」

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