長編おまけ的な会話文。
本編には繋がっていません。
退屈過ぎて螺子の抜けた砦組がわちゃわちゃしてます。
Chapter.2より 砦組
「ところで、彼女は美しい髪を持っているね」
「流石澁澤さん、お目が高い。そうでしょう? 毎日ぼくが手入れしていますから。この子を育て始めて六年、共にいる時は毎日です」
「はい、待ち給え待ち給え。ねえ、また知りたくない情報を聞かされた私の身になって呉れない? 君、抑々なに? 彼女のお母さんなの?」
「其れ、この子からも云われた事があるんですよねぇ……何故でしょう。ただ抱き締めて、頬や額にキスをして、膝枕して、絵本を読んで、一緒に寝て、愛情を注いでいるだけなのですが……」
「嫌がらせか」
砦組A
「ところでフョードル君」
「はい、何でしょう。澁澤さん」
「暇な事だし彼女の髪を弄らせては呉れないか?」
「はあ?」
「うわ、魔人のあんな嫌そうな顔、私初めて見た」
「退屈凌ぎになるかもしれない……」
「貴方、この子の事を退屈を埋められる存在ではないって思っていたばかりでしょう。ちょっと近付かないで下さい。ぼくの許可なくこの子に触らないで下さい。何ですか、其の櫛と髪紐は」
「三つ編みなど似合うと思うのだが。あともう少し髪が長くても善いと思う」
「似合います。似合いますよ。でも貴方にさせる心算はありません。そんなに髪を弄りたいのならご自分か太宰君の髪を弄っては如何ですか」
「ちょっと私を巻き込むのは辞めて呉れないかな!?」
「ふむ……ではこうしよう。片方は君、片方は私だ。太宰君は……まあ見ているといい」
「貴方ぼくの話聞いてませんね?」
砦組B
「ところで」
「何ですかまた。もう髪は元より、この子には一切触れさせませんから其の心算で」
「ずっと膝枕しているが脚は痺れないのかい」
「あ、其れは私も思ってた。君、そんな頼りない体しててよく長時間も膝枕なんて出来るよね」
「何を云うかと思えば……痺れませんよ。と云うより慣れました」
「ほう……」
「偶に疲れている時は拒否もしたくなりますが、この子が甘えた顔でぼくを呼ぶと……何でしょうね、受け入れてやらねばと思ってしまって……」
「矢っ張り君、お母さんなの?」
「違います」
「では、君は彼女にとっての何だね」
「そうですね……」
「うん」
「……」
「所有者ですかね」
「……矢張り君は悪だ」
「ふふ、判り切っていた事でしょう」
その後の二人
「ところでフョードルさん」
「はい。もうこの会話今日だけで何度もしているので嫌なんですけど……」
「? 私の髪、なんで三つ編みなんですか」
「そうでした。そうでしたね。解きましょう。一度起きて。善い子ですね。はい、いいですよ。おやすみ」
「な、何か怒ってる……」