忘れ雪
世界の残骸を集めた部屋で
夜が来たら、また
夕べ見た君の横顔は
死んだのはあなた
愛したのは残像
引き千切られた愛のゆくえ
あの朝を棄てたら飛べるだろうか
アンドロイドが泣くのなら
夢に融けた思い出を今日も彷徨い求めているの
終わりにしようか
舌先で奪う
盲目ダンサー
騙し愛
はしためで結構
残念、わたしは愛してます
あなたが好きですが何か
届かぬのならいっそ
そんなにあの子がいいの
あなたとわたしの空中戦
世界がそれを赦さない
相思相恨
絶対的敗北
世界よ歪め
死神は友を呼ぶ
液体になる希望
残酷なしあわせ
つまらない泣き顔
歪んだ世界の端っこで
見えなくなったあの日
ジュリアン・ソレル
やんごとなきまほら
在るか無きかの夢で
ただそれだけの真実
たったふたりの君へ
透明な君、ひずむ僕
嘘の数だけ信じてる
エアロノートの休日
潰れた胸で息を吸う
青い空を飛ぶはなし
だから無駄だと言ったのに
ざまあないね
斯くも儚き
臆病なわたしとやわらかな午後
溶け合えたらよかった
官能的絶望
愛はここで事切れるのです
掴み損ねた言葉
冥王星が啼く
アルボラーダでおやすみ
meaning:
忘れ雪:春、季節外れに降る雪
はしため(婢女):召し使いの女
ジュリアン・ソレル:スタンダール(仏人作家)の「赤と黒」の主人公。美青年。立身のため聖職者を志し、野望を燃やして上流社会に食い込んでいくが、やがて破滅する。
やんごとなき:最高の
まほら:素晴らしい場所
エアロノート:飛行家
啼(な)く:泣く/鳴く
アルボラーダ:オーバード。朝の音楽、恋人の朝の別れの歌
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