あたたかい。
そっと目を開けると、思っていた通りベルがいた。
長い前髪で目が閉じているのか否かを確認する事は出来ないけれど、薄らと開いた唇から漏れる吐息のリズムは一定で眠っているのだと分かった。
寒がりな私は眠ると無意識に毛布を体に巻き付ける癖がある。
そんな訳で、毛布にくるまったままベルに抱きしめられている所為で身動き一つ取れず、困ったなあと苦笑を浮かべる。
しかしその反面毛布越しに伝わってくる体温は酷く心地よく、もう少しこのままでいたいという気持ちが混ざりあって中々抜け出せない。
「ん、」と身動ぎをしたベルの手が私の背を緩やかに撫でる。
そのまま先程よりも強く抱きしめられてしまい、愈々抜け出せなくなった。
耳元に当たる吐息が擽ったい。
足も絡められている為、自由に動かせるのは指先くらいだった。
規則的な呼吸、混ざりあう体温、鼻腔を擽る彼の匂い。
その全てが私を眠りの世界へ誘う。

「おやすみなさい」

観念した私はそう呟いてそっと目を閉じた。
次に目を開けたら、きっと彼は口元に笑みを浮かべて額にキスを落としてくるに違いない。
胸がポカポカとして、何だかむず痒い。
酷く満たされている。
人はこれを幸せと呼ぶのだろうか。
意識が混濁していく。
それに逆らおうとはせずに、こつんとベルの胸元に額を寄せて体の力を抜いた。


おやすみなさい愛しいひと
どうか、良い夢を
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -