仕向け方にもコツがある


「これって、任務失敗って事になるんですかね?」

イタリア語でつらつらと書かれた死炎印付きのそれを見て、名前は苦虫を噛みつぶしたようにぽつりとそう零した。

「失敗と見做されていたら今頃僕らの首は吹っ飛んでいるさ」

ぱくりとお気に入りの5円チョコを頬張りながら、マーモンはそう返す。「抑々調査が杜撰なのが悪いよ。お蔭で二度手間だよ全く。時間と金の無駄だ」マーモンがいつも以上に刺々しいのはこの一件にリボーンが絡んでいるからだろう。
マーモンと同じ、アルコバレーノで凄腕のヒットマン。10代目沢田綱吉の教育係であり、彼が今、ボンゴレのボスの座に就いているのはリボーンの存在があったからと言っても過言ではない。そんなリボーン含むアルコバレーノとマーモンは頗る仲がよろしくない。と言っても、マーモンが一方的に彼らを嫌っているだけなのだが。

先日港で黒づくめの怖い組織と鉢合わせて一悶着あった件はまだ記憶に新しい。
そこでボンゴレに関する情報を秘密裏にコンタクトレンズに写し裏社会で情報屋に売り捌こうとしていたターゲットの始末、及びコンタクトレンズの回収を以て、その任務は無事終わった筈であった。けれど、実は未だ終わっていなかった、というのが今回送られてきた大まかな内容である。
始末したターゲットは製薬会社の重役であり、その製薬会社は2ヶ月前に自己破産をしている。経営不振による、というのが表向きの理由だ。けれどその実態は非認可の薬の開発。定かではないが、法外な人体実験にまで手を出していたらしい。完成薬から開発途中含め、その数なんと5000種類以上。
事が明るみに出るのを未然に防ぐ為、自己破産という形を取り会社を表向き潰し、世界各国のマフィアや犯罪組織相手に今度は商売を始めようとしていた。
ターゲットが盗んだボンゴレに関する情報とは、ボンゴレファミリーに伝わる特殊弾の製法だ。その情報は他組織に漏れる前に名前がターゲットの生首と共に無事回収したのだが、どうやらターゲットは製法だけでなく素弾も持ち出していたらしく、当然、素弾の方は回収出来ていない。

「その素弾を回収するのが、今回の任務ですか」

「回収した後、研究所諸共燃やして痕跡を消すよ」

素弾だけでは、何の意味もないのが実際のところである。特殊弾へとそれを変えるには、リボーンのパートナーである形状記憶カメレオンの“レオン”が必要不可欠だからだ。
けれど、不安要素は消しておきたいというのがファミリーとしての結論なのであろう。価値はないとは言え、それが今後悪用される可能性はゼロではない。
「…報酬倍額請求してやる」この小さな幹部は、随分とご立腹のようだ。それをまあまあ、と軽く宥めて、名前は隊服に袖を通した。
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