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僕の箱庭


ピッピッと無機質な機械音が響く真っ白な部屋。
床に転がったブラウン管は砂嵐。暫く雑音を発してぷつりとブラウン管が逝った。
誰も来る事のない部屋。家族も友達(と言っても殆ど居ないけど)も誰もこの部屋に脚を踏み入れてはくれない。

前に部屋の外で聞いた会話が頭をよぎる。
「――もう138号室の人は駄目だ。」
「―分かりました。なら、安楽死を勧めてみます。」

聞き慣れた会話。あれから何ヶ月も経った気がするけれど、安楽死を勧める気配はない。それどころか人が居る気配すらしない。
それとも、そう感じるのは俺が狂っているからなのかな。

ギシリと音を立ててベッドに寝転ぶ。
それに連動して、腕に繋がっている点滴が倒れる。鋭い痛みに顔をしかめながら窓の外を見る。
窓の鍵の部分には荒々しく鎖が巻かれている。部屋の扉の外側にも鎖が巻かれているようで、ピクリとも動かない。

このまま、「死ぬのかな…」

無意識の内に声を出して喋っていた。
でもそれに反応してくれる人は居ない。

このまま淀んだ空気を吸って吐いて、俺は死ぬんだろうな…。



臨也が居なくなってから数ヶ月。
未だに音信不通。新羅に門田達、来良のガキ達も臨也を捜している。
俺も手当たり次第に捜しているが、見つからない。
新宿のマンションにも居なかった。屋上に池袋、至る所を捜したのに居ない。

もう一緒見つからないのかも知れない。
そう諦めてかけていたその時、


新羅からの連絡を受けた。

『臨也が見つかったよ。…でも、前の臨也じゃないらしいんだ』
「……は?」

『臨也は狂ってる、』

重たくなっていく雰囲気の中、深刻そうな新羅の声が耳に残る。

『それに臨也は隔離されてて何ヶ月も放置されてたみたいでね。生きているかは分からないんだ。』
「嘘…だろ…」
『逃げ出さないように鎖で閉じこめられているから僕らには壊せない。セルティに鎖を壊して貰おうと思ったんだけど、丁度仕事が入ってね。』
「……俺が、行く」
『………そう。今から携帯に地図を送るから、…気を付けてね。』

プツと切れて携帯に地図が送られてくる。
すぐに地図を見て目的地へと急ぐ。



辿り着いたその先には、臨也が居るのか、居ないのか。

荒々しく鎖が巻かれた扉を蹴破る。
俺は直後、目を見開いた。



  
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