小説 | ナノ

モルモットと神様


白い部屋の中。
沢山の機械が詰まっている閉塞空間。

苦い栄養剤を口につけながら、周りにいる人間に目をやる。
俺と同い年の子供達。皆やせ細って、至る所に包帯を巻いている。
ぼーっと見ていると、俺の隣にいた一人の友達が、目を輝かせながらこう言った。

「ねぇ!いつかここから出てさ!あの広い丘で鬼ごっこしようね!」

楽しそうに話す友達に、俺は静かに首を縦に振った。

あれは壁に描かれた絵だなんて、言えない。


ある日、注射を手にした白衣の男達がこの白い部屋に入ってきた。
注射の嫌いな友達の手を掴む男達に、俺は声を掛けて代わりに前へ出る。
心配そうに俺を見る友達に、小さく笑ってから部屋を出た。

白衣の男達に連れられて、沢山の怪しげな機械がある部屋で注射を打たれ俺は気を失った。

気がついた時には、心配そうに俺の顔を覗き込んでいる友達の顔があって、またあの閉塞空間に閉じ込められたのだと分かった。

暫くは何事もなく、絵本を持った友達と一緒に話をする。
ふと絵本を見ながら、友達が俺に話し掛けた。

「いつかこの絵本みたいに、神様が助けてくれるよ!」

そう言う友達に、俺は静かに微笑んだ。

俺達は人間じゃないから無理だよなんて、言えない。



今日もまた注射を打たれるのかと考えていると、ふと電気が消えて全ての生命装置が全停止した。

ドーンと響く花火にも似た懐かしい爆音に、他の子供達が泣き叫ぶ中、怖がりの友達が俺にしがみついた。

俺はただ崩れる壁の絵をただ見ていた。



明るくなった部屋の青空越しに、金髪の神様を見た。



***
某歌う人形の唄です。
分かった人は私と友達。



  
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