おそろい 「ねえ。どうして臨也は短ランなのさ。いつまでも中二病を引きずってんじゃないよ」 「新羅、刺すよ?」 「心の底からごめんなさい」 蒸し暑い昼休みの屋上。 俺が少しナイフをちらつかせただけで、新羅はなめらかに土下座をした。 新羅の土下座に少しだけスッキリして、俺はサンドウィッチを食べる事に専念する。 「で、どうして短ランなの?」 「そんなに気になるの?俺の短ラン事情」 「うん、そこそこ気になるかな」 柔らかい笑みを浮かべながら、冒頭で言っていた事と同じ質問をしてくる新羅。 正直答えるのは面倒くさいし、何より理由が凄く子供っぽいと自覚してるから答えられない。 どう答えようか悩んでいると、新羅がなんとなく独り言を呟いた。 「静雄と同じ制服が嫌だから短ランとか、そんな訳ないよねえーw」 新羅の笑い混じりの独り言は俺の耳にしっかりと届いて、ついカロリーメイトを落としてしまう。 しまった、と恐る恐る新羅を見ると、案の定新羅はにやにやした表情を見せた。 「へー?それが理由で短ランなんだw」 「……うるさいよ新羅」 「僕はてっきり中二病だからかと…」 「俺は列記とした中二病だよ」 「自分で言っちゃうんだ、それ」 呆れ気味に、でも少しだけ笑いの混じった声で話す新羅にイラッとして、俺は新羅のメガネを奪い取り―― 渾身の力で割った。 「ああああ!!何するのさ!」 「イラッとして…」 「使い物にならなくなっちゃったよ…。今日の帰り、メガネ買うのに付き合って貰うからね!!」 「………面倒くさい…」 「誰のせいだと思ってるの!?」 *** 臨也さんの短ラン事情が、シズちゃんと同じ制服が嫌だからって理由だった気がして。 あれ、ただの妄想かな。 |