「今日は今度こそてめぇにモノを片す能力をつけさせる為に、片付けを手伝え」
「えー……」
「えーじゃねぇよ。元はといえばてめぇの部屋だろうが!」
「まだ片付けなくても大丈夫ですって、一応通り道はまだ足場がありますし」
「そんなコト言って今まで片付けずに、ほったらかして必然的に雪崩が起きるんだよ。
まず部屋の中のヤツみんなを、俺がわざわざ用意した『いるモノ』の箱と、『いらないモノ』の箱にそれぞれ分別しろ」
「なんだか、幼稚園児のおかたづけタイムみたいですね。
簡単ですよ。この部屋にあるモノぜーんぶ『いるモノ』ですから」
「……訂正。
『いらないモノ』も『いらなさそーなモノ』に分けろ」
「僕の部屋にある物は全て必要性があると判断していますので、『いらないモノ』も『いらなさそーなモノ』も存在しません」
「…………。
じゃあ『いらないモノ』と『最近触ってないモノ』と分けろ」
「僕は自分のコレクションに愛着がありますので、どれも触っていますから分けれません」
「お前、そッッッんなに片付けたくないのかよ……」
「片付けなどしなくても、何処に何があるか把握している僕には必要ありませんもん」
「へぇえええ、それは初耳だなァ、オイ
この前の出陣間近に軍服が紛失したり、印鑑や書類もそうだ。
軍服も今だに俺のスペア借りてるままだしよ。
あぁそうそう。
確か今付けてる眼鏡はスペアだったなぁ?
この前は昼寝最中に眼鏡が無くなってたよなぁ。他にもまだまだあるけど、ど〜れも今だにこの部屋で行方が分からずじまいになってるのに、全部把握してるなんて口走っているのは何処のどいつだ」
「−−捲簾」
「あ?」
「深呼吸してみてください」
「……はぁ?」
「いいから深呼吸ですよ、深呼吸」
「……、したけど」
「ほら、周りをよく見渡してください。
貴重な書物と、造形美が積み上がったこの素晴らしい光景を−−。
そう思うと何だか今視界に写るこの光景が色鮮やかく見えませんか?」
「見えるかあァァァァ!!
何お前、今までこの惨状をそういう風に見えてたのかよ!?」
「僕ね、よくよく考えてみたんです。
今、片す練習をした所で、長年染み付いた性格は治らないと思うんですよ。寧ろそんな時間の浪費をするぐらいなら、日々のストレスを発散するべく、自分の時間を楽しんだ方が効率が良いと思うんです」
「だからってやる前から、あきらめが早すぎんだよお前は!」
「捲簾、貴方は今とても良い事をおっしゃいました。
そうです、諦めたらその場で終わりです。
何人も諦めなければいつか妖精になれたり、デコから太〇拳がでたり、腕からロケットビームが発射出来るんです」
「−−いや、それは無理だろ。普通に考えて」
「諦めなければ、いつかきっと空だって飛べるはずです。
さぁ捲簾、今直ぐに窓へ飛び降りなさい!」
「何ソレ。遠回しに俺に飛び降り自殺しろって言いたいのかよお前は」
「まぁ、冗談はここからということでですねぇ」
「まだ続くのかよ!?」
「捲簾。
人はどんな窮地に置かれても、いかに自分を保ち、冷静になれるかが大切なんです。時に余裕がなくても、ほのかなユーモア一つぐらいは忘れちゃだめだと思うんですよ」
「分かった。お前さんの言いたい事はよぉおおく分かった。
ユーモアはもういいから片付けろ、頼むから」
「……さぁて。
そろそろ楽しく待ち遠しい軍議の時間なんで行ってきますね」
「はぁあ?!
な〜にが、楽しく待ち遠しい軍議だっ!
いっつも目ェ開けながら寝てやり過ごしてるくせに、こういう時の逃避行に使うんじゃねぇよ!」
「じゃっ、後は頼みますね。
捲・簾・大・将☆」
「あっ、コラ逃げんじゃねぇよ、天蓬っ!!」




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またしてもコレを捲天と分類していいか分かりませんが、そういう事にしておいてください←
拍手記載期間(13.04.02〜13.04.30)
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