「悟浄、あけましておめでとうございます。
新年早々早速なんですが、僕達窮地に立たされてるみたいです」
「−−新年早々に掃除機でたたき起こされて第一声がソレかよ……。
もっと色気ある事言えって……」
「そんな事言ってる場合ですか悟浄。
どうやら、家に閉じ込められちゃったみたいなんです」
「はぁ? 何ソレ?」
「今、異常な吹雪で外に出られないんですよ」
「別に吹雪ぐらい、直ぐに止むんじゃねぇの?」
「ラジオが送る気象情報によると、ここ数日間しばらく続くようです」
「ラジオぉ? テレビは?」
「吹雪のせいで、アンテナが故障したみたいで上手く映らないんですよ」
「……マジ?」
「マジです」
「じゃあつまり俺達って、マヌケにも家の中でプチ遭難しちゃったワケ?」
「プチじゃありません、立派な遭難です、これは」
「マジかよ……、昨日で煙草切れたってのに、買い出し行けねぇじゃねぇかよ」
「あはは、こんな状況なのに案外余裕ですね」
「で? こういう時ってどうするんだ? 電話か携帯で救助呼ぶのか?」
「原作を無視した電子器具を出しちゃあマズイでしょ」
「狼煙で合図でSOS?」
「狼煙作られたら、家中煙ったくなるじゃないですか」
「ワインボトルにSOSの紙入れて、海に投げる、遭難の定番のアレか」
「悟浄、無人島で遭難する映画の見すぎです。しかも状況は無人島ではなく、吹雪です」
「よしジープ、この救助要請の紙くわえて、今すぐハゲ坊主の所まで飛んで行ってこい!」
「まさか、本当にこんな吹雪の中にジープを外に出そうモノなら、僕が許しませんよ。
−−ねぇ、悟浄?」
「……ん、冗談。マジ冗談だから、笑顔で殺気立つのヤメて」
「ですよねぇ。
悟浄がそんな酷い事する訳ないですよねぇ。
大丈夫、僕は冗談だって信じてましたよ。信じている前提で言いますが、もし本気だったら……。
悟浄をこの吹雪の中に放り出すトコロでしたが、まさか悟浄がジープにそんな酷い事する訳ないですよねぇ」
「そ、そうに決まってんだろうっ、てめぇは俺を疑いすぎなんだよ!
あははは、は……」
「まあ、それはさておき、周りに住居がなく、町から離れた一戸建てというのは、こういう落とし穴があったとは勉強になりました。
まあ、幸い年末にまとめ買いしましたからしばらく食料には困らないと思いますが……」
「−−八戒。
俺……、スッゲー事に気がついたかもしれねぇ……!」
「え、なんですか?」
「雪山で遭難して篭城となれば、やる事は一つしかない。
八戒っ、こうしちゃあいられねぇ! 今すぐ服脱いで温めあ」
「ジープ、寒いですか?
今すぐに暖房入れますからねー」
「おいこらぁっ!
わざとらしい話の切り替えヤメろ!」
「悟浄がいきなり新年早々馬鹿な事言い出すからじゃないですか」
「馬鹿じゃねぇよ。
いいか、よ〜く考えてみろ。
このある意味雪に囲まれたともいえる密室に、しかも外は吹雪ときた。そんな室内は当然気温が下がる一方で、このままだと俺らは気温が下がりつつある室内で凍え死ぬかもしれねえ。
凍え死ぬ前に俺らがやる事は一つ。服脱いで肌で触れ合う温め方は雪山で遭難時のセオリーだ。と、ゆーワケで八戒、今すぐセッ」
「何がというワケですか。
僕から言わせて貰えば、ここは雪山ではありませんし、篭城で密室ですが、水や食料などには困っていません。
しかも確かにテレビは付きませんが、電気は無事なので寒ければ暖房を付ければいいだけの話です。
つまり、悟浄がいっているセオリーは矛盾しています。という訳で却下です」
「−−……、うぉっと、手が滑っ」
「てません。そんな悪ふざけた悟浄の都合で暖房及び、電化製品を壊させはしませんよ。
−−もし、どうしても悟浄の望むセオリーを貫きたいのなら、ご自分一人で貫いて下さい」
「一人だなんてつれねぇコト言うなよ八戒。
この際セオリー関係なく姫初めしようぜ〜、なぁ?」
「−−悟浄、貴方そんなに新年早々から無理矢理窓から出て、吹雪の中で寒風摩擦がしたいようですね?」
「スイマセン、ごめんなさい。腹の底から全身誠意謝るから、寒風摩擦だけはマジで勘弁して」




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正月最初だけじゃんというクレームは受け付けませry←殴。
拍手記載期間(13.01.01〜13.01.31)
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