※色々とやりたい放題です。



「捲簾、ちょっとお願いが」
「却下」
「……まだ何も言ってないじゃないですか」
「お前からの頼み事は、今までの経験からいってロクなモンじゃねぇから」
「失礼ですね、僕は貴方に不可能な頼み事をした事はありませんよ」
「あぁ、そうだ。
不可能なモンは頼まれた事は一度たりともねぇよ。
だけどな、不可能に近い無茶苦茶な頼み事で、今までどれだけ周りに被害と損害、そしてその後始末をさせられてきた経験から言わせて貰えば、お前のお願い事はロクなモンじゃねぇっていってんの、分かる?」
「成る程、そうですか……。
なら、仕方がないですねぇ」
「……なんで軍事用の拡声器なんか持ってんの?」
「直ぐに分かりますよ。……あ〜、テステスっと。
−−暴れん坊将軍(下半身含む)と吹聴しているあの天界西方軍第一小隊捲簾大将は、実は重度の高所恐ふ」
「だぁーーーっ!? お、お前っ、一体何のつもりだ!?」
「何って、あの天下の暴れん坊将軍の実態を、世間に正しく知って頂こうと思いまして」
「ソレ、ゼッテェ要求きかねぇとバラすぞっていう脅しだろ?!」
「脅しだなんて人聞きが悪い。
僕はただ他意はなく、純粋なお願いを聞いて頂きたいだけですから」
「−−っ、……分かった。
そのお願いを聞いてやるから早く言えっ!」
「親切な貴方ならそう言って下さると思ってました。−−ハイ、これ」
「……ジャージ上下と、軍手?」
「明日、僕らの小隊で教練を目的とした、下界の山で山篭りに行きますから」
「……なんで山篭り?」
「知らないんですか?
今の時期は下界の山は松茸が旬なんですよ」
「俺が聞きたいのは松茸じゃなくて、なんで山篭りをしなくちゃならねえのかって聞いてるんだ」
「あぁ、教練はただの建前で、本当の目的は松茸採取ですから安心してください」
「なお悪いじゃねえかっ!」
「大丈夫ですって。優秀な部下達は喜んでお供致しますって、やる気漫々に言ってくれましたし」
「てか、そんな理由で小隊なんか出せんの? 竜王は?」
「すんなりと首を縦に降って、許可して下さいました」
「天帝はっ?!」
「愚問ですね。あの方が、僕のお願いを断るとお思いですか?」
「お前、茸類ダメじゃなかったのか?」
「そんじょそこらの胞子で繁殖する大型菌類と違って、あの風味と食感、高級感溢れる味わい深さのある松茸は、下界の食には欠かせない高級食材でしてね、あの絶品な味はこの天界には決して味わえな」
「ああ、分かった。もういい。
お前の言いたいコトはよーく分かった。蘊蓄はいいから今すぐに現実に戻って、松茸以外の茸類に謝ってこい」
「えー……。
あ、因みに悟空も松茸を楽しみにしてるみたいですし、金蝉なんか炭火焼きにして持ってこいって注文してきましたから、持って帰ってきたら焼いて下さいね」
「お前が焼けよ……」
「嫌です。
炭だらけになりたくありませんから」
「俺はいいんかいっ!」
「本当の男前は炭だらけになっても土まみれになっても、男前のままですよ、捲簾」
「〜〜〜〜〜っ!
……わーったよっ!
行けばいいんだろ行けばっ! 松茸だか椎茸だか竹の子だかしらねぇが、お供すればいいんだろ!? ……上等じゃねえか、山の自然生態が崩れるぐらいに取ってきてやるよっ!」
「色々とツッコミ所満載ですが、やる気になってくださって良かったです。大将の貴方がやる気にならないと我が小隊達の士気に関わりますからね、頼りにしてますよ、捲・簾・大・将?」
「へいへい、頑張らせて頂きマスヨ、天蓬元帥」
「あ、言い忘れてました」
「ナニ?」
「僕は松茸ご飯が食べたいです」
「……リョーカイ」




−−−−−
どっかで天ちゃんは茸類ダメっていう情報があったような気がしますが、気のせい?←
…それはさておき、これは捲天と呼んでいいかとめちゃくちゃ悩みましたが、捲天と思って頂けるとありがたいです←

拍手記載期間(12.10.01〜12.10.31)

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