「天蓬」
「何ですか、捲簾?」
「なんでこの俺様が全身タイツと、頭にシカの着ぐるみの奇天烈なコスプレしなきゃなんないワケ?」
「シカじゃありません。トナカイです。−−なんでって言われても、普通はそうでしょう。
まさか、この僕に茶色の全身タイツを着させて、その上、頭にトナカイの着ぐるみを被れと言う気ですか?
なんて、非道な……っ」
「強制的にこんな罰ゲームみたいなコスプレを着せたお前の方が、よっぽど非道だ!
てか、何お前だけ真っ赤なコート着ちゃって、さっきから見てたら目がチカチカするし」
「アレ、知らないんですか? 今の下界は12月。12月といえば25日の聖夜、クリスマスです」
「その聖夜と、この意図が掴めないコスプレと、どう関係があんの?」
「関係大有りです。
聖夜の日までに良い行いをしてきた子供達に、トナカイが引っ張るソリに乗って現れる白ヒゲのおじいさんがいます。
サンタクロースっていうんですけど、眠っている子供の枕元に置かれた靴下に、プレゼントを贈るんですよ」
「……不法侵入罪じゃねえの、ソレ」
「またそんな夢がないコトを」
「で、お前さんの話通りなら、俺がソリ引っ張るトナカイで、お前がガキにプレゼントをやる役ってコトか?」
「その通りです。
良い子代表の悟空と、子供と呼ぶにはあまりにも無理があるウドの大木、中身はピュア100%な金蝉に贈ろうかと思いましてね」
「……もう、ツッコミ入れるのが馬鹿らしくなってきたからスルーするわ。
−−で、あの親子には何あげんの?」
「悟空には愛と勇気だけが友達の主人公の絵本と、抜け毛に悩まされている金蝉にはよく効くと評判の育毛剤を」
「金蝉のはぜってぇ、嫌がらせだろ」
「嫌がらせだなんて心外な、ただ単に遊んでるだけです」
「そっちの方がひでぇよ。
ま、それはさておき……。
−−俺へのプレゼントはないワケ?」
「いい年した大人が、プレゼントなんか欲しいんですか?」
「男って奴は中身はいつまでもガキだぜ?」
「あぁ、なるほど。
特に貴方の場合、ガキ大将をそのままデカくした感じですもんね」
「とにかく、良い子の為に働く俺へにプレゼントを要求する」
「う〜ん、そうですねぇ……。じゃあ僕専用の肩たたき券は?」
「肩たたき券よりも、おさわり券が欲しい」
「そんなマセた子供には、年末に向けての決算書類処理の宿題をあげませんとね」
「いいぜ別に。俺が欲しいご褒美をくれるなら」
「ええ、考えておきましょう。僕の条件を飲んでくれたらの話ですが」
「すっっげえぇぇ、嫌な予感……」
「サンタクロースが子供にプレゼントをあげる際に、屋根にある煙突から子供の部屋へと入らなければなりません」
「まさか……っ」
「そのまさかです。
金蝉の居住区の屋根に、煙突を作って来て下さい。今すぐに」
「−−俺が高いトコ駄目って、知ってて言ってるんだよな?」
「ええ、勿論。
しかし、大丈夫ですよ。ちゃんと命綱は設置しますから」
「あのな、そういう問題じゃねぇよ。
俺に住居不法侵入、建造物等損壊、器物破損の多重罪をやらせる気かお前は!!」
「まぁ貴方ならそう喚き散らかして断ると思ってましたし、嫌なら仕方ありません。
−−僕自ら作ってきます」
「いぃっ!?
何古典的なドリルなんか構えてんだっ、何かギュイィィィンっていってんぞオイっ!!」
「因みに、煙突を作る為に集まって頂いた工事会社の方々が、外で待機中です。
今か今かと待ち構えてますので、煙突製作準備は万全です」
「テ、メェ……っ、無駄な人件費使いやがって……っ、早急に帰らせろゴラァァ!!」




−−−−−−
以上、トナカイ(全身タイツ)大将×サンタ元帥でした。←

拍手記載期間(12.12.01〜12.12.31)

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