「なぁ、八戒」
「なんですか悟浄?
さっきからニヤニヤして」
「お前ってさ、実は俺のコト相当好きなんだろぉ?」
「……はい?」
「だぁから、八戒は二枚目で男前のこの沙悟浄サマのコトが、好きで好きで堪らないんだろ〜?」
「………………………………………………すいません……。
悟浄のどこをどう見て好きになれる要素があるか、一生懸命考えてみたんですけど、何一つ思い浮かびませんでした……」
「いやいや、何本気でヘコんじゃってくれてんの?
てか、何気に失礼じゃねえ?
そんなコト言われて逆に俺がヘコみたくなるんデスけど」
「あはは、冗談ですよ、冗談」
「……めちゃくちゃ本気っぽく聞こえたけどな、俺の耳には」
「あのね悟浄、元はといえば、貴方がいきなり変なコトを言うからじゃないですか」
「だってよ、いつも誰に対して敬語キャラを貫いてるお前が、緊急時以外、俺にだけたまーに敬語口調じゃなくねぇ?」
「確かに言われてみればそうですけど……」
「だろ〜?
俺はそれに対して、俺って実はお前に相当特別愛されてるんじゃないかって優越感に浸ってるワケよ、分かる?」
「まあ、悟浄とはもうそれなりの付き合いですし、しかも同い年でもありますからね。
僕が無意識の内に貴方に対してだけ緩いというか、何処が気を抜いているのかもしれません」
「だろだろっ? ほらみろ〜、八戒サンってば、やっぱり俺様にゾッコンなんだねぇ。
いやぁ〜、モテる男はつれぇな全く」
「ええ、そして悟浄に対してだけ、何処か遠慮がないのも事実ですね。
他の人だったらつい遠慮したり気遣ったりして、自分の感情をセーブしてしまうんですが、悟浄になら遠慮なくぶつけられますね」
「……すげぇ嫌な予感がするけど、何を?」
「忘れたんですか?
深夜に泥酔状態で宿に帰ってきた上に、貴重な金銭を賭博ですっからかんにさせ、酒臭い口でしつこいキス魔に成り下がってくる始末。
しかもあれだけやりたい放題しといて、悟浄一人だけが幸せそうにグーすか眠ってらっしゃって……。
腰が痛いのに、そんな貴方を見てキレ出す三蔵のフォローに回されて、挙げ句の果てに泥酔状態時の記憶は綺麗さっぱり忘れている時は、本気で『一体どうしてくれようかこの野郎……』と思いましたが。
まぁ、僕も大人ですし、今の今まで僕の胸の中に留めておきましたが、悟浄がそうおっしゃるのなら、今後から遠慮なく自分の気持ちをぶつけてみますね」
「……八戒」
「あぁ、別にそれに対しての謝罪は結構ですよ。
もう大分前の事ですし、今更悪気がないトコロを見せられても、嘘くさくて誠実性が欠けてますから」
「……お前、性格が日に増して悪くなってねぇか?」
「そんなコトありませんよ。強いていうならば、悟浄いわく僕が悟浄に『ゾッコン』だから感情にセーブしなくても、僕の本音を遠慮なく言えるんじゃないですか〜」
「八戒、……お前、今すっげぇ楽しんでんだろ?」
「悟浄が先に僕をダシにして、遊ぼうとするからじゃないですか。これでおあいこです」
「どうみても俺の方が、三倍増しに遊ばれた気がする」
「僕で遊ぼうとするから、こういうコトになるんです」
「……でも、結局のトコロはお前って、俺のコトやべぇ位好きなんだろ?」
「またその話ですか?
そういう悟浄だって、わざわざ男の僕に構ってしつこく『好き』かどうかを聞いてくる辺り、相当僕のコトが好きなんじゃないんですか?」
「なんでそうなるワケ?
俺はただ、沙悟浄サマが好きで好きで堪らないのに素直に認めたがらない八戒に、ナンパする時間を惜しんでまでわざわざ、テメぇんトコまで出向いて気付かせてやってるだけなの、分かる?」
「………」
「………」
「もうこの話題、止めませんか?」
「確かにな。野郎同士で素面に好き好き連呼すんの、アホらしくなってきた」
「連呼していたのは悟浄だけですよ」
「だからちげえってっ!
とにかくっ、今回俺のコトがヤベェぐらい好きな八戒、で幕を降ろすってコトで」
「冗談言わないで下さい。
寧ろ貴方が僕をやばいぐらいに好きなんじゃないですか?」
「だからちげぇよ! お前が俺を−−」







「マジで撃ち殺す……っ」
「さ、三蔵、落ち着けって。なあ?」
「あんなゲロ甘迷惑オーラを撒き散らかす奴らが悪い。
……悟空。あの河童を撃ち殺したら、直ぐに遺体をどっかの川に流してこい」
「あ、それって、河童の川流れってヤツ?」
「お前、よくそんなことわざを知ってるな。意味は全然違うがな」
「前に悟浄が八戒を怒らせた時に、ロープグルグル巻きにされてた悟浄を川に流してる八戒を見掛けてさぁ、八戒が言ってたんだ。河童の川流れみたいでしょう? って」
「………」




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この文は、会話文と甘々と自己満足でお送りしましたー。←

拍手記載期間(12.11.01〜12.11.30)

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