ある日の昼下がり、珍しく家にいた悟浄が八戒に迫られていた。

「ねぇ、悟浄・・駄目・・・ですか?」

「・・・そ、そんなエロっちぃ顔したって駄目なもんは駄目だ!」

「・・本当に?」

「っ・・だ、駄目に決まって・・・」

艶っぽい唇に潤んだ瞳・・普段なら見られない八戒の表情に悟浄は今にも心が折れそうでなんとか踏みとどまっている状態。

「悟浄」

「な、何だよ?」

「お願いだから・・させてくださいよ。一度だけでいいんです。」

「お願いって言われたって、そんなの・・無理だって・・・」

今日の八戒は一段と押しが強く、悟浄がおされ気味で・・そろそろ、落ちそうなくらいだ。

「・・させてくれたら、誕生日・・期待してもいいですよ?」

「ぐっ・・う〜〜〜〜〜〜〜。わかった!もう好きにしろ!」

最後の一押しで、八戒の勝ち。
悟浄は腹を決め、ソファに座る。

「有難うございますじゃ、ちょっとまっててくださいね?」

「あぁ・・」

そういうと、八戒は鼻歌を歌いながら洗面所の方へと姿を消した。

「はぁ・・俺も落ちぶれたもんだよな・・。」

気づかれないようにぼそりと呟いた。
少しして、戻ってきた八戒の手にはブラシなど髪をすく道具が握られている。

「はーい!悟浄、大人しくしててくださいね〜。」

「・・・おぅ。」

悟浄の紅い髪をゆっくりと八戒の手が触れた。
そして、うっとりとした表情で髪をすき始めていく。

「はぁ・・やっぱり、悟浄の髪って綺麗ですよね。」

「血の色みたいってか?」

「いいえ、あの時はそう見えましたが今は違いますよ。」

「へぇ、そう。」

「あぁ!動かないでくださいよ!」

悟浄が気恥ずかしそうに頭をたれると、間髪いれずに八戒から抗議の声が入る。
丁度、手にはヘアゴムが握られているので結ぼうとしていたのだろう。

「へーへー、大人しくしてますよ〜だ。」

「そうしてください。」

八戒が真剣に髪をいじり始め、二人の間に沈黙の時間が流れる。
それすらも、心地よいのだろうか?
無言でも、お互い穏やかな表情をしていた。

数分後・・・

「はい、できました!」

「・・・・・・あの、八戒さん?」

「はい?」

呼ばれて、きょとんとしたような表情で返事をする八戒。

「こりゃねーだろ!」

「えー可愛いじゃないですか?」

「可愛いとかの問題じゃなくって・・ガタイのいい俺様がなんで三つ編みされてご丁寧に緑のリボンまでつけれちゃってるわけよ!?」

悟浄が八戒の手の心地よさにぼんやりしているうちに、悪戯心が芽生えたようで・・現在。
綺麗な三つ編みになっていた。
しかも両サイドに・・・。

「だって、赤と緑ってなんか合いません?」

「ま、まぁ・・そうだけどよ。」

「じゃあ、いいじゃないですか?それに、似合ってますよ」

満面の笑みで悟浄を見下ろしている。

「あぁそう・・。」

ちょっと、不機嫌にはなったがたまにはいいかもしれない。
八戒のこんな笑顔は滅多に見れるもんじゃないしな。と悟浄が思ったとかなんとか・・。

苦笑しつつも、なんだかんだ八戒に甘い悟浄さんなのでした。


おわっとけ!

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