大好物

夏真っ盛りの昼食は、沙家(?)では決まって冷えたぶっかけそうめんだ。
普段から暑がりの悟浄は特に夏の季節になると、こういった冷えたモノを好むためだ。
そして今日も相変わらず朝帰りが祟って昼頃に起き出した悟浄。
食卓に並べられた冷えたそうめんを、悟浄は当たり前の如く啜って食べる。
同じく添えたきゅうりもどうやら気に入ってくれたらしい。
きゅうりを好む姿はやっぱり河童みたいだと思ったのは、悟浄本人には内緒にしておこう。

「ところで、悟浄の嫌いな食べ物は知ってますけど、逆に大好物はあるんですか?」

向かい合わせに座る中、ただ無言でそうめんを啜るのも味気無いので、何か話題を出した。
すると、悟浄は間髪入れずにこう答える。

「美人。しかもとびっきりのな」

そっちじゃなくて、食べ物ですよ、食べ物。
人によって言葉の捉え方が違うと言いますが、今まさにソレに当て嵌まりますね。
色々と思う節があって黙っていると、悟浄から聞いてもいないのにまたさらに続けだす。

「あと煙草と酒、特に暑い日にギンギンに冷えたビールと枝豆さえありゃあ完璧だな」
「中年親父まるだしですね」

最近の悟浄の親父化は少々気になるトコロだ。
この前は新聞を読みながらトイレに入っていたし、クシャミなんて完璧な親父クシャミだ。
その内傘でゴルフのまね事や、寒い親父ギャグを連発する未来の悟浄を想像すると、心配でなりませんね。
そんな心配を知らぬ悟浄は、ニヤリとニヒルを気取った笑みを零し始めた。

「で・も。最近は腹黒で、たまに天然が入ってる薄幸美人が今の大好物よ、俺」

−−はいはい、そうですか。
お得意の口説き文句なら、まず始めに下着一枚姿ではなくちゃんと服を着てからにしてくださいよ、悟浄。



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