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「どうか、黒い髪を救ってください。どうか、戦争が起こらぬように。誰も苦しまないように。あなたが王になった時は、必ず良い国にすると、私と約束してください」


そう約束した。
ぼくはたった一日だって忘れたことはなかった。
いつかエメザレが全ての苦しみから救ってくれる日が来ると信じていた。

そしてエメザレは微笑んでいる。
イウの頭の中にだけ存在する、完璧なエメザレが。
恐れのない真っ直ぐな姿勢で。
穢れのない空気で。
勇気に満ち溢れた黒い瞳で前を見据えて。

いつまでも光り輝いて。夢みたいに。

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