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それはアスヴィットが発ってから四日過ぎた早朝のことだった。
外がにわかに騒がしくなり、イウは物々しいざわめきで起こされた。
地下牢に窓はないが、この冷え具合からして日はまだ昇っていないだろう。

「おい、起きろ」

血相をかかえたアスヴィットが入ってきた。

「お前、何者なんだ。元帥様がほんとに来て下さったぞ」

「本当に!」

イウは飛び起きると鉄格子を握り締めた。

「お前のおかげで元帥様と話すことができた。なんだかよくわからないが礼を言うよ」

興奮した様子でアスヴィットも鉄格子を握り締めて言った。

「ところでゴルトバってなんだ?」

アスヴィットは本部へと赴いたが、少年をスミジリアンの国境で解放せよ、とだけ末端兵に言われ手紙の受け取りも拒否されたらしい。
そこでアスヴィットはエメザレの部屋と思われる扉に向かって、イウに言われたとおり「ゴルトバ」と叫んだ。途端、慌てたように部屋からエメザレが出てきて、アスヴィットはすんなりと部屋に通されたのだそうだ。

「ゴルトバってなんなんだろう。ぼくも知らない」

「それは新造生物の名前です」

その時だった。よく通る美しい声がした。


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