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気付くと、辺りは真っ暗だった。何も見えない。何の音も聞こえない。だが、感覚はある。どうやら自分は仰向けに寝ているようだ。とても心地いいものの上に寝ている。ここはベッドだろうか。

イウは起き上がったが、暗闇の世界は何も変わらなかった。

「誰かいないの」

声は明らかに響いた。しかしそれに反応するものはない。世界に静寂が戻り、虚無のような無限の闇が広がっている。

ここはどこなんだ。

彼は怖くなった。イースの世界ではないだろう。だがここはクウェージアなのだろうか。また別の知らない世界なのではないか。その心細さは尋常でない。

ここから出なくては。

見えない世界を這いつくばるようにしてイウはうごめいた。

「あ!」

心地のいい手触りが唐突になくなったかと思うと、下に落ちた。あまり痛くはない。段差はそこまで高くなかったようだ。しかし今度は硬く冷たい質感だ。石の床だろうか。ということは先ほどいたところはベッドで間違いないだろう。

廟葬。
という言葉がある。エクアフ種族の文化の一つで、伝統的な埋葬方法だ。火葬も土葬もせず、特殊な防腐処理を施して一つの部屋の中に埋葬する。その部屋は「死者の部屋」と呼ばれていて、大抵の場合生前に作られる。貴族や王族であれば廟葬が一般的であり、王族は「王家の墓」と言われる地下の巨大な廟に埋葬されるのだ。


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