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どうしてぼくを殺すんだ。エメザレ。

声にならない声で彼は叫んだ。口を動かしても血が吹き出てくるだけで、音にならない。
唯一、涙だけが彼の気持ちをエメザレに伝えた。
すまない。ぼくはお前に嘘をついた。
彼はエメザレの服を引っ張って耳を引き寄せ、最後の力で口を動かした。それでもやはり声は出ずに、口の中の血が泡立つだけだった。
エメザレはそんな彼に哀れそうな眼差しを向け、そして彼を一度貫いたその剣を再び掲げた。

ぼくはちゃんと約束を覚えていたのに。
約束を果たそうと思っていたのに。

制裁の刃が振りかざされるその時ですら、まだ諦めきれずに
頭の中で叫び続けていた。

大好きだったのに。
おまえのようになりたかったのに。
ぼくは大きくなったのに。
おまえの力になれると思ったのに。

エメザレ。
ぼくは――――

今まで抱いていた、エメザレへの尊敬や憧れや思い出やいろいろなもの、その全てが、巨大な何かに変わろうとした瞬間、彼の心臓に剣が突き刺さった。

ぼくは――――

急激に冷たくなり、ぼんやりと霞んでゆく世界のなかで、エメザレの漆黒の髪色と血に濡れた悲しそうな微笑が目に焼きついていた。


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