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「わかった。ぼくはオルギアに行く」

イウは眠りについたエメザレに優しく言った。

「絶対にお前を生き返らせてみせる。お前の作った国が見たい。その国に住めることをぼくはずっと待ち望んでいるよ」

その言葉にエメザレがうなずき微笑むことはなかったが、イウにはそれでも今度こそ約束が果たされるように思えた。
エメザレの夢を叶えることで、この罪を償えることを願った。

そしてエメザレを木の根元に座らせると、優しく黒い髪を撫でた。
まるで、眠っているかのように優しげな死に顔は、永遠に腐敗しないように見え、微笑んでいる口元には、エメザレ歩んだ人生からは全く連想されない、穏やかな安らぎがあった。
まだほのかに温かい、エメザレの体に身をよせて、二度と鼓動しないであろう心臓の上に顔を置いた。

「ぼくはとても疲れたよ。いろいろなことがあったから。今日は、今日だけはぼくと一緒にいてくれ。ぼくはお前のそばにいたいんだ。それだけで、それだけでぼくはこんなにも幸せなんだから……」

なんと満ち足りた気分だろうか。生きてきた時間の中でこんなにも幸せな気分を味わったことはあっただろうか。
もう誰にも支配されていない。なにもなくなった世界にまた美しい光が芽吹きつつある。その感覚のなんと素晴らしいことか。
けれども今日を終えてしまったら、この至福のときはしばらく訪れないだろう。そしてまた明日から、孤独と絶望が長く彼を支配するのだろう。
それでもこの一瞬の幸せが、その長い時を打ち負かすようにと願って、イウは英雄の胸の中で静かにまぶたを閉じた。

彼のまぶたの中では、完全なる神と化して新たに爆誕したエメザレが絶対的に君臨していた。

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