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「ああ」
どうして

どうして微笑んだんだ。エメザレ。
どうして憎しみのひとつも言わないでぼくを抱きしめたんだ。
罵りの言葉ひとつ浴びせてくれれば、ぼくはいくぶん楽だったろうに。
ごめんなさい。ごめんなさい。

ぼくは死を恐れないくらい全てを信じて大きな夢を見ていればよかった。
一瞬だって疑う必要はなかった。
それでも彼の正しさをずっと信じていればよかったんだ。
全部ぼくのせいだ。ごめんなさい。ごめんなさい。

「ごめん……ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

地に横たわるエメザレを抱きしめて、泣きながらも後悔の言葉をとめどなく繰り返えしたが、彼が動くことはなかった。エメザレは微笑んだままに永遠の静寂に包まれたのだ。
何もなくなってしまった世界で、イウは独りきりになった。
希望を与え続けてくれた存在はもういない。だから悲しくて。悲しくて。世界が暗くなって。何の救いもなかったから、エメザレを抱きしめてただ泣き喚いた。
昔のようにそれしかできなかった。彼は一人ではなにもできない、ただの弱い少年なのだから。


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