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「スミジリアンへ行くんです。あそこなら、必ずあなたを受け入れてくれます。
スミジリアンの王にあなたを優遇するようにとの手紙を書いてきました。それを渡せば住居と最低限の生活は保障してくださるはずです。
多くの白い髪がスミジリアンに向かっています。きっと、あなたが知っている顔もいるでしょう。
何年かは不自由しないだけのお金もこちらで用意します」

「いやだ! ぼくはスミジリアンなんかに行かない。白い髪の中に友人も理解者もいない。ぼくは四年間、常に孤独だったんだから。いまさら、どの面を下げてスミジリアンに行けと言うんだ。なにをより所にして生きていけと?」

住居もお金もいらない。ぼくがほしいのはそんなもんじゃない。
ばかにするな。そんなくだらないもので。

「お願いします。あなたが拒否するならば私はあなたを殺さねばなりません。私は覚えています。あなたが「黒い髪は劣っていない」と言ってくださった時の喜びを。今でも感謝しています。だから、もう殺したくない」

しがみついていたイウを引き離して、エメザレはそっとイウの肩を掴んだ。

「いやだ」

エメザレから離れたくない。今離れたら、きっとエメザレは手に届かない遠くに行ってしまって、二度と会うことはできないだろう。
エメザレのためだけに生きてきた。ひたすら信じて。ばかみたいに。

だけど、どうしても好きなんだ。だからいやだ。
いやだいやだいやだいやだ。

「お願いですから……お願いします」

彼は最後の願いを口にした。涙を一杯瞳にためて、唇をかみ締めて、そしてイウを見つめ続けて。

「いやだ」

その言葉を口にした瞬間、イウの腹にエメザレのこぶしが突き刺ささっていた。


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