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「でもぼくは四年間も……四年も我慢したのに。 全てを敵にまわしても、お前を選んだのに!
ずっと独りで……それでもお前と暮らせる日を夢見てた。そのぼくに、お前がくれたのは裏切り?」

巨大な激情は今、心の中でおぞましく低い音を立て、深い底の方からイウの全てを飲み込むようにして湧き上がってくる。
四年間。それはとても長い孤独との戦いだった。その中でどれだけの想いが積もっていったことだろう。計り知れない。
とめどなく溢れ出る涙を拭うことすらできなかった。

「どうか許してください。私は無力で愚かなのです」

エメザレは嘆いた。自分を呪うようにして。

「許す?どうやって?ぼくの全てを返してくれ」

国も城も財産もなくなってしまった。
でも王子になんて生まれてきたくなかった。あんな城で暮らしたくなかった。財産などあったところで幸せでもなんでもなかった。
エメザレと二人で国を統治するという夢だけが、その夢を見ることだけが幸せだった。それだけでどんな苦痛にも耐えられた。

四年前、弱く臆病であった少年を変え、それこそ人生を、全ての価値観を変えてしまったのは、この世界で唯一無二のもしくはただの一つのエメザレという存在であり、それこそが絶対でそれだけが光で、全ての希望で、願いで、祈りで、救いだった。

孤独にも無関心にも耐えられたのは、自分に価値を見出し使命を持って勇気を出せたのは、エメザレという神がイウの傍で常に瞬いていたからだ。
エメザレという神が居ない世界では、イウは四年前と同じ無力で脆弱なただの少年でしかない。


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