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「悪いな。規則なんだ。こうしないとオーウェうるさくて。すぐ帰ってくるから」

イウは牢屋の中に入れられた。大貴族の家にはさずが、地下牢が付いている。
アスヴィットは申し訳なさそうに謝りながら、また不味そうなたくさんのパンをイウに差し入れた。

「手紙を受け取ってくれなさそうだったら、「ゴルトバ」と叫んでくれ。お願いだ」

「ゴルトバ?」

「いいから!頼んだよ」

鉄格子にしがみついてイウは叫んだ。

「わかったよ。じゃ行ってくる」

アスヴィットは少し頭を傾げながら出て行った。


何の因縁か、牢に入れられたイウの面倒はオーウェが見ることになった。
どんな仕打ちをされるのかと始めこそ恐れていたが、彼は最初の印象ほどに粗暴ではなかった。確かに温顔ではないが、それでも人並みの気づかいくらいはしてくれた。
だが、その多少雑な優しさに触れても、イウはいたたまれない気持ちになるだけだった。仕事とはいえ、白い髪をこうして扱うのはオーウェにとって苦悩でしかないだろう。もし許されるならば、家族の敵を討ちたいと思っているかもしれない。
穏やかとはいえない、冷厳と遺恨を押し込めた顔の下には、どれほど激烈な殺意がうごめいていることだろう。
それを押し殺して、オーウェはイウに理性的に接するのだから、その努力は人並みはずれているといっていい。


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