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それが本格的な悲劇へと繋がったのは、国内会議の中断から約三ヶ月後、宮廷で黒い髪が働くことを正式にグセルガが許可したことが原因だった。

本当に突然であったから、イウをはじめ大臣や宮廷中の召使は少なからず驚いた。
黒い髪嫌いのグセルガが、黒い髪を宮廷で働くことを許したというのは、喜ばしいことのようであったが、その目的が黒い髪と白い髪の平等でないことは、グセルガの身近にいる人物に限らず誰の目からみても明らかだった。
建前としては、黒い髪の能力を自身の目で直接量り今後の方針を検討するとのことだったが、宮廷で働くことを許された黒い髪はたった一人であり、その内容は雑用と掃除であった。
たかだか一人の掃除の仕様で、黒い髪という種族の何が量れるのだろうか。

イウはそのやってくる黒い髪を、ひどく愚かしく思った。常識で考えれば、ひどい扱われかたをされることくらい理解できるだろうに、それでも勝ち目のない戦いに挑もうとする黒い髪は何を思っているのか不思議でならなかった。


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