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その廊下はおかしいくらいに真っ直ぐだった。曲がり角もなく道がわかれているということもなく、ひたすらに真っ直ぐで、しかも果てが見えない。

そんなはずはない。
いつだったか、幼い日にイウは一度この廟を訪れたことがあった。確かに広かったが、入り組んでいてまるで迷路のようだったと記憶している。
物珍しさで夢中になって歩いていたら、グセルガとはぐれて大泣きしたのだ。こんな一本道ではなかった。

ここはどこなんだ。
どれだけ歩いただろうか。その果てしなさに負けて彼はついに歩くのをやめた。
ローソクは溶けてあとほんの少しの寿命しかない。
死という絶望がイウを襲い来る。

こんなところでぼくは死ぬのか。
独りで。こんなに冷たい暗闇の中で。

力なく地面に座り込むと、大声で泣き出した。

死にたくない。死にたくない。
イースの世界から帰ってきたのに。
エメザレに会いたい。

こんな時でも頭に浮かぶのはエメザレの優しい顔だった。

エメザレはどうして。どうしてぼくを殺したんだろう。

泣きながら思った。どうか死ぬ前に理由だけでも聞かせて欲しい。

「エメザレ」

呟きは響き渡った。何度も何度も繰り返されてから残響は消え、やがてローソクの火も尽きた。
全くの静寂と暗闇の中で死の存在だけが鮮明だった。
彼は死を覚悟するが如くに身体を横たえた。石の冷たさが全身に凍みるようだ。


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