3/7


イウは暖炉を探して這い回った。何度も何かにぶつかり、同じ場所らしきところを彷徨いながらも、やっとおそらく暖炉と思われるものを発見した。
側面を手で探ると、手のひらに収まる大きさの石片と、取っ手の付いた火打金が立掛けて置いてあった。
イウは暖炉にワラが敷いてあるのを確認すると、フリントと火打金を打ちつけた。

一瞬にして照らされる世界。
そこはやはり「死者の部屋」であった。
自室に似せられて作られた部屋。いや、家具は自室から運んだのだろう。ぼんやり照らされたテーブルに、かつて嘆きのあまりに自分で殴り書いた「どうか平和を」の文字が浮かび上がっていた。

「ぼくは生き返った……?」

彼は呟いて不安になった。こうして生きているようだが、本当に生きているのだろうか。上記で述べたとおり、エルド教には死後、超高次元世界の出現まで「死者の部屋」で待たなければならないという考えがある。もしそれが本当であるならば、いつ復活するかもわからないエルドとやらの再臨を、この部屋で待たなくてはならないのだ。

「そんなわけがない!」

恐ろしい考えを一掃しようとイウは大声を出した。
ここから出れば答えはわかる。
彼はローソクに火を灯すと、部屋の出口を探し始めた。

- 57 -


[*前] | [次#]
しおりを挟む

モドルTOP