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「遺伝子? エラー? 何言ってるの? それに、ぼく新造生物と契約なんかしてないよ。ぼくはエメザレに殺されたんだよ!」

どうもこの世界はいらいらする。声の言うことはどれも意味不明なあげく、この息苦しさと救いようのない不快感。そしてなぜか鮮明に覚えているエメザレに殺されたという事実。
どこが理想郷なんだ!
イウは胸の中で文句を言った。

「すまないが、私の情報は長い間更新されていない。基本世界での情報は一切ここに入ってこないのだ。よって私には推測することしかできないため、正確な答えは出せない。
世界機構について簡単に理解できることではないのはわかっている。君の現在の状況を平たく言ってしまえば、生と死の狭間にいるというわけだ」

「じゃあ、みんな死ぬとここに来んじゃないか」

息を切らせながらイウは言った。もはや呼吸をすることすら辛く、声を出すのが難しくなってきた。

「いや、来ない。公式ではないとはいえ、世界再構築後にこの空間を開いたのは君が初めてだ。つまり、一万年以上、誰も来なかった」

「なんで、来ないんだよ!」

特に意味はないが、怒鳴った。そんな理由などどうでもよかったのだが、なにかに当たらないと気がすまなかった。

「それは、基本世界にはもう、この空間を公式に開けることのできる遺伝子が存在しないからだ。
一万年以上前に起こった「世界再構築」でその有効な遺伝子の全てが書き換えられてしまったことが原因だ」

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