4/6 「エメザレ!」 たくさんの意味と気持ちを込めて彼の名を呼んだ。 少し前に言った父への言葉など忘れて。虚偽の裏切りのことなど、その罪悪感など、彼の出現できれいにかき消されてしまっていた。 エメザレのもとに早く行きたくて、イウは駆け寄った。希望で輝く幸せな未来のほうへ。 そして彼を抱きしめた。強く強く。とても嬉しかったから。 エメザレの胸の鼓動は早かった。身体が震えていた。上から冷たいものが落ちてきた。何度も。 「泣かないで」 エメザレの顔に手を当てて優しく涙を拭った。 なぜだろう。胸が痛い。お前と会えて嬉しすぎるからだろうか。でもいいんだ。ぼくのことは。それよりそんな悲しそうにするのはやめてくれ。何も悲しむことなんてないんだ。ぼくがずっとそばにいるよ。 エメザレの顔を引き寄せた。もっとよく見たかったから。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |