2/6 「答えられんのか」 「彼は――ぼくが考えていたような、高潔な人物ではありませんでした……。全て、父上のおっしゃる通りでしだ」 エメザレは軽蔑するだろうか。でも、これ以外に幸せになる方法なんてあるだろうか。素直に処刑されれば、エメザレは悲しんでくれるだろうか。 しかし、それで何が変わるというのだろう。 「よかろう」 満足そうにうなずいてから、グセルガは話を続けた。 「では、もしお前が王となったなら、この国をどう統治するべきだと思うかね」 「黒い髪を弾圧しつつ、この国の平和を守ります」 「しかし、お前はエメザレと契りを交わしたのだろう? 白い髪と黒い髪が平等に暮らせる国にすると」 そうだ、あの時約束した。忘れてはいない。忘れたわけではないんだ。 許してくれ。エメザレ。 「そんな約束など忘れました」 言った言葉はあまりにも、あまりにも虚しかった。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |