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「答えられんのか」

「彼は――ぼくが考えていたような、高潔な人物ではありませんでした……。全て、父上のおっしゃる通りでしだ」

エメザレは軽蔑するだろうか。でも、これ以外に幸せになる方法なんてあるだろうか。素直に処刑されれば、エメザレは悲しんでくれるだろうか。
しかし、それで何が変わるというのだろう。

「よかろう」

満足そうにうなずいてから、グセルガは話を続けた。

「では、もしお前が王となったなら、この国をどう統治するべきだと思うかね」

「黒い髪を弾圧しつつ、この国の平和を守ります」

「しかし、お前はエメザレと契りを交わしたのだろう? 白い髪と黒い髪が平等に暮らせる国にすると」

そうだ、あの時約束した。忘れてはいない。忘れたわけではないんだ。
許してくれ。エメザレ。

「そんな約束など忘れました」

言った言葉はあまりにも、あまりにも虚しかった。


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