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「しかし、エメザレへの気持ちが変わらないのだとしたら、困りましたね。どうやって約束を守るつもりなんです?」

「今、考えてる」

「考えるも何も、方法は一つしかありませんよ」

「わかってるよ!」

ジヴェーダの言うとおり、約束を果たす方法は一つしかない。
グセルガの意思を継ぐこと。
グセルガの死後、自分の思ったとおりの国を作ればいいじゃないですか。と、イウを覗き込むジヴェーダの瞳は語っている。

「それではエメザレを裏切ることになってしまうのではないかと、心配しているのでしょう? 物事というのは結果が全てですよ。過程がどうであれ、最終的に約束を果たせればいいんです。
もし途中で黒い髪と対立する時があったとしても、陛下の死後和解できるでしょう」

打って変わってジヴェーダの口調は穏やかでなだめるようになった。

「つらいのはわかります。あなたはこの四年間、ずっと独りで戦ってきた。誰も味方をしてくれず、みんな異様なものでも見るかのようにあなたを見ていた。陛下からも嫌われ、罵られ、愛情が断ち切られても、それでもあなたは独りで耐えた。
まるでエメザレのようにね。ならば、彼もあなたの辛さをわかってくれるはずですよね。ここで、あなたが意見を変えないとエメザレは永遠に救われないのですから。この世界でたった一人、あなたしかエメザレを、黒い髪を救ってやることはできないのですから。だから仕方のないことです。あなたは間違ってなどいません。最後にエメザレはあなたに感謝するでしょう」

囁かれた言葉は優しかった。生ぬるい希望で、イウの心は満たされかけていた。ジヴェーダの言うことが、そう間違っているようには聞こえなかったし、むしろもっともな言い草に思えてならなかった。
それでいいのだろうか。
甘い言葉に包み込まれながら心のほんの片隅でイウは思った。

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