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「彼は同性愛者だ。あなたは最初におっしゃいました。同性との行為を軽蔑すると。私を軽蔑するのならエメザレのことも軽蔑すべきだ。そうでしょう?」

「だってそれは……お前が無理にしたことだろう」

「それに関してはそうですが、エメザレは私を一番喜ばせてくれたといっても過言ではない。経験の違いでしょうかね。彼のほうが私なんかより、よほど経験が豊富なようでしたから」

ジヴェーダは腕を掴んだまま、イウの悲痛な表情を見つめてにこやかに言った。

「聞きたくない! 黙れ! 黙ってくれ。知りたくない」

耳を塞ごうとしたが、ジヴェーダの手はそれを許さない。
そしてそのままジヴェーダは、その話しをし始めた。


何時間もずっと事細かに、何度も繰り返してその話をした。
ジヴェーダが、その時エメザレはどんな顔をして、どんな声を上げて、どんなふうに動いたのか何度も何度も説明したから、目をつぶるとジヴェーダの話すその時のエメザレの顔が浮かんでくる。
見たくも想像したくもない、その時のエメザレの顔が。エメザレの締め付ける間隔と、中の熱さと、絶頂のときの悦楽の悲鳴が、イウの頭と身体を這い回る。
これ見よがしな、そんなエメザレの姿が浮かんでは、次の一瞬に彼の微笑があり、消えるとまたその姿が浮かんでくる。

吐き気がする。エメザレをそんなふうに見てはいけない。
壊さないでくれ。
ぼくのエメザレを。
綺麗なエメザレを。
正しさの基準を。

でも、それでも微笑んでいた。エメザレが頭の中で。彼は真っ直ぐ前を見つめていた。


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