6/6 「ジヴェーダを呼べ」 「ジヴェーダ……」 弱々しくイウは呟いた。グセルガは更に口の端を吊り上げて明らかな喜びを表した。 あの日以来、ジヴェーダはイウの前に現れたことはなかった。無論忘れはしなかったが。 「ごきげんよう。お久しぶりですね。王子」 そして開かれた扉の向こうから、相変わらず横暴さと奸悪さを垂れ流しているジヴェーダが姿を現した。あの忌まわしいジヴェーダが。エメザレを傷つけ蔑ろにした、憎むべきジヴェーダが。 イウは、悪びれもせずに軽い口ぶりでそう言いながら、軽い足取りで近づいてくるジヴェーダを睨んだ。 「よく、ぼくの前に現れたものだね」 イウの言葉には答えず、ジヴェーダはグセルガにひざまずいて見せた。 「ジヴェーダ。我が息子を頼んだ。どうあっても三日後までに考えを変えさせろ。何をしてもかまわん。それができなければ、お前の手で息子を殺せ」 「はい。陛下。仰せのままに」 あの時のように、ジヴェーダは意味ありげにうなずいた。 [*前] | [次#] しおりを挟む モドルTOP |