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「もういい」

「あなたはエメザレが怖かった。認めたらどうですか?」

イウは激しく責めるようにきいた。

「愛しい息子よ。一つ教えておいてやろう。お前に王位をわたす気はない。お前に、わたしの国はやらぬ」

「いちいち愛しいと付けるのはやめていただけませんか。ぼくを憎んでいるくせに」

「お前がどう思おうと関係ない。息子よ、わたしは再三にわたり、わたしの考えを受け入れてほしいと願ってきた。しかし、お前はどんなにわたしが説得しようとも、きく耳を貸さなかった。これは大変に残念なことだが、しかたあるまい」

「なんだと言うのですか」

「三日後までに、お前が考えを変えなければ、お前を処刑台に送る」

イウは一瞬言葉を失った。

「……処刑?ぼくを?」

「わたしの息子はお前だけだ。しかし、わたしに従順でないお前に、わたしの国を譲るわけにはいかん。例え、わたしの血を引いていなくとも、わたしの死後もわたしの望んだ方向に、この国を導いてくれる誰かに王位を譲りたいと思っている」

世界が収縮していくのを感じた。約束を果たせなくなることを恐れた。急に押し黙り、イウは父の顔を見つめた。

「心配しなくとも、お前はいつまでもわたしの愛しい息子。三日後までに、どんな手を使ってもお前の危険な思想を正し、その悪意に満ちた妄想から救い出してやろう」

無表情の下にある怯えを見透かして、グセルガは満足そうに笑みを浮かべた。

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