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ある時、父がイウを食事に呼んだ。呼んだというよりも強制に近かったが。

グセルガと食事を共にするのは半年ぶりだった。部屋から出るのさえ久しぶりだ。イウは大勢の召使に連行されるようにして歩いた。すれ違う白い髪の目は犯罪者に差し向けられるもののように侮蔑的だった。
連れて行かれた部屋には何十人もの家来が壁に張りついて、人形のようにずらりと並んでいる。

「座るがいい」

無駄に長いテーブルの遠くに父は座っていた。召使がひいた白いきれいな椅子に、イウは大人しく座った。

「イウよ。わたしの愛しい一人息子よ。お前はまだ、わたしの言うことが正しくないと、言うつもりかね」

「訊かずともおわかりのはずです」

すかさず召使はイウの目の前に豪華な料理を出したが、彼は目もくれずに椅子に座るなり父の厳めしい顔を睨み付けた。

「あなたの頭は古すぎるのです。父上。もう意地を張るのは止めにしませんか。ぼくに王位を譲ってください。ぼくはこの国を平和と平等に導く自信があります。あなたは老後を穏やかに過ごしていればいい」

「イウよ。わたしがお前のことをいつでも一番に考え、この世界で最も愛しているという事をまず認めてほしい」

突然イウは顔面をテーブルに伏せ、肩を震わせながら大声で笑いだした。もはやグセルガがなんと言おうとも、イウの耳には間違いにしか聞こえない。
グセルガはそれを異様な目で見ながらも黙っていた。

「嘘ならもう少し、うまくついたらどうですか。愛しているのなら、ぼくに王位を譲ってくださいよ」

やっと笑い終わってから、顔をテーブルに伏せたまま言った。


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