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「エメザレをここへ呼べ」

召使はその怒鳴り声から逃げるようにして、黙ったまま背を向けると走っていった。

「違う。違うよ。父上! ぼくが勝手に思って言ったんだ。エメザレは何も言ってない!」

なぜ父は自分ではなくエメザレに矛先を向けるのだろう。
エメザレのためを思って言った言葉は残酷にもなんの役にも立たず、逆に窮地に追い込もうとしている。

「我が息子よ。お前までわたしを裏切るのか!」

ついに、それは叫び声になった。

「違います。父上、ぼくはあなたを裏切るつもりは――」

「早くしろ! 早くエメザレをここに連れて来い!」

自分を表現することは、そんなにもいけないことなのだろうか。グセルガがイウ考えを認めるはずがないのはわかっていた。それで自分が傷つけられるのは、覚悟して言った意見ではある。
ただエメザレを助けたかっただけなのに。それなのに。
取り返しがつかないことだとわかりつつもイウは心底嘆いた。


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