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「なんだね。我が息子よ」

「それは…ぼくは、違うと……。それは、違うと思います……」

イウは言葉をつまらせながら、それでも精一杯言った。
少し間を置いて、考えてから不思議そうにグセルガはきいた。

「それで、どう違うのだね」

「エメザレが何をされても怒らないのは、この国を思っているからです。けして、誇りがないわけでも、愚かなわけでもなくて……」

グセルガの顔から血の気が引いてゆき、表情がどんどん硬くなっていくので、いくぶんイウは心配になって、口をつぐんだ。

「どうした。続けたまえ」

ひかれた椅子に座りもせずに、イウの言葉に耳を傾けた。

「だから、エメザレは父上に認めてもらえるよう、すごく……努力しています。なぜ、認めてやらないのですか…?」

重苦しい、しばらくの沈黙の後、グセルガは深刻な顔で言った。

「イウ。それは非常に危険な思想だ。実の息子の口から、そんな言葉が飛び出てくるとは、正直心外だ。お前にいらぬことを吹き込んだ悪しき者はエメザレか?」

「……いえ。違います」

「エメザレはお前を脅し、口止めまでしたのか。前々から、息子に悪影響が及ぶことを懸念していたが……」

だんだんと強く大きくなる声に、イウは自分の意見を言ってしまったことを後悔した。しかし、今さら後悔などしたところで、全く無意味である。グセルガはとまらなかった。


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