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「なぜって……心配で……」

いざエメザレを前にすると話すのが恥ずかしくなって、イウはエメザレから目をそらせた。

「感謝致します。王子。私のような黒い髪に情けをかけて頂いて……」

エメザレは床に頭を摩り付けるようにして深く頭を下げた。

「やめて!顔をあげてよ!」

エメザレに恐れられているような気がして嫌だった。つい叫ぶと、エメザレは慌てて顔を上げ不思議そうにイウの顔を見た。

「ぼくは、黒い髪が劣等してると思ってない!ぼくは黒髪が醜いと思わないし、お前を卑しいとも思わない!ぼくはお前のことが心配で来ただけだ。だから……ぼくは、ぼくだけは敵じゃないんだ」

しばらくエメザレは座ったままイウを見上げていたが、やがて静かな黒い瞳が鮮やかな感情を抱いて輝いた。

「良かった」

エメザレは呟いた。

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