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昼間の華やかさを失い静まり返って闇に包まれた城の廊下を、月明かりを頼りにそっと歩いた。

広い、広い城の召使の部屋の先の馬小屋を越えて、更に奥に行った所の使われてない物置。
そこがエメザレに与えられた部屋だった。

ひどくかび臭く、馬小屋からくる臭いも強く、かつて白かったらしい壁の塗料がわずかに残っているだけの汚い部屋だった。
腐りかけの扉には取っ手がついていたが、鍵はついていないようだった。

イウは取っ手に手をかけた。声をかけなかったのは、勇気がなくて中の様子を伺いたかったからだ。

突然に中からジヴェーダの怒鳴り声がした。
イウは慌てて取っ手から手を放したが、扉は開いてしまったようで、隙間からエメザレとジヴェーダの姿が見えた。
夜までも、ジヴェーダが傍にいるとは思わなかった。

「俺の話を聞いているのか、エメザレ」

幸いにもジヴェーダは扉が開いたことに気が付いていない。
ジヴェーダはエメザレの頭を片手でわしづかみにして壁に押しつけていた。

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