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「だがしかし! セウ=ハルフ! 世の中にはどのような理屈をこねても説明のつかない出来事がたくさんある。例えばオルギア遺跡とか……」

「あ、オルギア遺跡っていえば、こいつも行きたいらしい」

不服そうなデミングの話を遮り、セウ=ハルフはイウを目で差した。

「なんと!」

途端に目を輝かせ、デミングはくたびれているような目を精一杯に見開いて、イウの右手を両手で握り締めてきた。

「そうなのか! きみは学者を目指しているのか! 素晴らしいね。若いうちから命も顧みず研究に励むというのは。きっと将来は大物になるよ! 僕も考古学者なんだ。オルギアについて研究をしているんだよ」

「デミング」

静止するようにセウ=ハルフは言った。しかしデミングは二度軽く頷いただけで興奮は止まらなかった。
聞けばデミングは元々ドゥレゾンという大きな町に住んでいたのだが、昔から遺跡に興味があり、特にオルギア遺跡について強い興味を持っていたので、わざわざカルテニに越してきたらしい。

そこで知ったのだが、カルテニはスミジリアンの最西端にあり最もオルギアに近い地点だった。自身では真北に向かっているつもりでいて、実は大きく西に逸れていたのだ。
なるほど三日もかかるわけだ。と彼は一人納得した。


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