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「僕もクウェージアの人間じゃないからよく知らないが、少なくともそう言って騒いでるのはクウェージアの移民たちだ。なんでも『エメザレは四年前に死んだはずだ。あれは偽物だ』とか『蘇った魔物はクウェージアを破滅に導こうとしている』とか『エメザレが王の首を持って王の間から消えるところを七人の側近が目撃した』だの数えればきりがない。エメザレは魔法使いか何かなのか?」

デミングの目は真面目そのものだった。おそらくその強い知識欲がデミングのクマをひどくさせているのだろう。

なんと答えるべきか、とイウは考えた。しかし、そもそも自分自身も、なぜエメザレが突然玉座の間に現れたのか、新造生物ゴルトバとエメザレはどのようにして会い、どうやって身体を修復したのかを知らない。うまく説明もできないだろうし、なにより身を案じるならば、わからないという答えが最良だろうか。

「認めたくないだけさ」

しかし、デミングの問いに答える暇もなくセウ=ハルフが入り込んできた。
セウ=ハルフは何かを頬張っていたようで、しばらく口をもごもごと動かせてから一気に黒ワインを飲み干して続けた。

「死んだ奴が生き返るわけがない。空間移動だって側近の七人がでっち上げた嘘かもしれないだろう。エメザレとグルだったか、ありえない失態を認めたくないだけか。考えてもみろ、王と王子二人の犠牲だけで革命を成功させたんだ。この偉業は語り継がれるだろうが、クウェージアの白い髪たちはそれが気に食わないのさ。
もしくはエメザレの計画のうちか。だとしたら大した話だね。特別な力を持った奴が新王になるのなら誰も文句は言わんだろうし。もし全てがエメザレのパフォーマンスだったとしたら、俺はマジ尊敬しちゃう」


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