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目が覚めると外は夕暮れ時になっていた。いつの間にやら眠ってしまったはずだが、体には毛布がかけられていた。実はその毛布のかび臭さで起きたのだが好意には感謝したい。
屋敷の外は驚くほど静かだ。朝と変わらず人の姿はない。中ではデミングが帰ってきたらしく、セウ=ハルフとデミングの楽しそうな声がイウのところにまで洩れ聞こえていた。

声のする部屋を覗くとセウ=ハルフとデミングが夕食を食べているところだった。

「起きたのか!」

セウ=ハルフはすぐイウに気付き手招きをした。
テーブルにはマデルミートが作ったのであろう、美味しそうな料理がぎっしり並べられている。高級なものではなかったが、三日何も食べていないせいもあってか、宮廷で出されたどんな料理よりも美味しそうに見えた。
しっかり彼の席と料理も準備されていたので、彼は二人の間の席に座った。

「君、クウェージアから来たんだって!?」

座るなり、デミングが興奮した様子で聞いてきた。
傍でよく見るとデミングの肌は若く、目の下のクマさえなければ顔は整ってすら見える。しかし髪形が一昔前のワンレングスであるのも手伝って、残念ながら無風流な印象が強い。

「うん。そうだよ」

「あの噂は本当なのか? エメザレは死んで蘇り空間移動して王を殺した、というのは」

誰が聞いているわけでもないのに、デミングは小声で――そのくせ鼻息はうるさいくらいに荒くして言った。
デミングは興味本意なのだろうが、彼には鋭い緊張が走った。

「……どこで聞いたの?」

知らない顔で平常心を装ったが、一気に食欲は失せていった。


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